なぜ東京ヴェルディは「イノベーションハブ」を設立するのか

なぜ東京ヴェルディは「イノベーションハブ」を設立するのか

 2023年4月4日、東京ヴェルディは、Verdy Sports Innovation Hub(ヴェルディ・スポーツ・イノベーション・ハブ)をローンチします。

 Verdy Sports Innovation Hubは、総合クラブである東京ヴェルディが、その出自であるサッカーを中心に多岐にわたるスポーツを題材として、社会全体やスポーツの現場に新たなイノベーションを創出するエコシステムです。多様なステークホルダーの皆様を巻き込み議論や研究を重ねる中で、社会の課題解決に挑戦すると同時に、得られた知見や形成された繋がりをもとに人材の発掘・育成・輩出に取り組みます。

 

 

設立の背景

 2020年頃から、世界的な未知の感染症の拡大や、SDGs/ESGに代表される過去の資本主義とは一線を画し社会課題の解決を重視する機運の高まりなど、人々の社会的価値感がパラダイムシフトを起こし、それとともにスポーツ自体の在り方やスポーツクラブに求められる振る舞いが大きく変容しつつあります。このような時代にあって、多岐にわたる競技を抱える東京ヴェルディだからこそ発揮できる価値を活かし、従来型の事業にとどまらない新たな取り組みを推進する必要性を認識しています。

 加えて、昨今のような変化のスピードが速く、価値観も多様化する時代において、組織や社会を支える「人材」がますます重要になっています。東京ヴェルディが約50年間にわたり積み上げてきた育成メソッドを改めて体系化する「Verdy Method(ヴェルディ・メソッド)」プロジェクトにおいて、東京ヴェルディが求めるプロフェッショナル像を再定義する中で、その教育・育成のためには、クラブ外部の専門家やプロフェッショナルの皆様から異なる価値観や知見を学び、取り入れる必要があることを再認識しました。 

 一流のビジネスマン、一流のスポーツ選手であるためには、まず一流のプロフェッショナル、そして一流の人間でなくてはなりません。このような課題認識は、どの競技のどのクラブでも行き着く周知の事実ですが、東京ヴェルディはこの人間育成を、世界経済の中心地のひとつである東京を舞台に、多様なパートナーを巻き込みながら実現します。まずは東京ヴェルディの起源であるサッカーを出発点に、プロフェッショナル人材の育成手法を研究・開発し、それをクラブの育成メソッドとして落とし込みます。そして、東京ヴェルディの競争優位性である総合クラブとしての価値を最大限に発揮できるよう、サッカーチームにおいて試行錯誤した人材育成手法をクラブ内の他スポーツ競技にも共有していきます。その拠点となるのが、Verdy Sports Innovation Hubです。

取り組み事項 

 Verdy Sports Innovation Hubは、スポーツ×ノンスポーツの専門性を掛け合わせ、社会全体やスポーツの現場に新たなイノベーションを創出するとともに、東京ヴェルディの価値の根幹である人材育成をさらに加速させ、多様な専門分野を持つ人材の発掘と輩出という形で社会に還元する場です。パートナー企業や教育機関、専門家の皆様が持つ第三者視点を取り入れながらプロフェッショナル人材の育成手法を研究し、このエコシステムにおいて蓄積された人材やナレッジを、社会やスポーツの現場が抱える課題の解決、及びクラブの育成メソッドへの応用という形で昇華していきます。

 加えて、Verdy Sports Innovation Hubは、プロスポーツクラブとそのパートナー企業の関わり方の新たな形にもなり得ると認識しています。前述の通り、スポーツ界においても価値の変容が進む中で、露出や広告効果を目的とする従来型のスポンサーシップではない新時代のパートナーシップモデルや、クラブが持つアセットを起点としたコンテンツドリブンなビジネスモデルを構築するための新規事業でもあります。

 Verdy Sports Innovation Hubにとって、「ALL VERDY」という言葉は単にクラブ内の他競技チームを含む「VERDY CLUB」を指すのではなく、このオープンイノベーションの仕組みをともに構築するクラブ外のパートナーを含む「VERDY ECOSYSTEM」を意味します。

 Verdy Sports Innovation Hubの考え方に共感していただいた企業、教育機関、専門家の皆様とともに、東京ヴェルディ、そして、スポーツ界の未来を共創していきたく、Verdy Sports Innovation Hubの今後の取組みに是非ともご注目ください。